値引きシールに見る単位と人の感覚

単位と割引きの話

スーパーに食料品などを買いに行った際、商品に値引きシールが貼られていることをよく目にします。多くの人は無意識のうちに値引きシールをチェックしお得な品がないか探すものです。この値引きシールには「~円引き」と値引き額が表記されているものと「半額」「○割引」と値引きされる数字が明記されているものがあります。あなたは、どちらの表記に心を動かされるでしょう。

例えば、200円の商品を100円に値引きして売る場合です。「100円引き」と「半額」どちらの値引きシールを貼れば強い印象を与えられるでしょうか?200円を100円引きすれば半額になる、というのは多くの人が簡単に計算できると思いますが、ほとんどの人は「100円引き」よりも「半額」の値引きシールに印象が残るはずです。ではなぜ「~円引き」よりも「50%引き」や「半額」が多くの人を惹きつけるのでしょうか?

それは、人は物事を比較する際に、足し算や引き算ではなく掛け算や割り算を無意識に行い、何倍とか何分の1という感覚を用いて比較するという傾向が強いからです。

学問の分野では「~%」や「~割」というのは単位ではありませんが、実用面では立派な単位として脳に認識さているのです特に「半分」や「50%」というのは物事を二分する最も簡単な分配方法といえるでしょう。そして、この方法は人類の歴史においても長い間受け継がれ、多くの人の心に刻み込まれている方法であるといっても過言でありません。

以上のように、割り引きされた値段が同じとなる場合でも、「~円引き」よりも「50%引き」や「半額」としたほうが多くの人の心を惹きつけることができます。 学問の分野では「%」は単位ではありませんが、多くの人の判断基準は足し算や引き算ではなく掛け算や割り算になるため、心理面においては立派な単位としての役目を果たしているといえるでしょう。

ところで、あなたは何割引きぐらいなら思わず買ってしまいますか?私は以前から欲しかったものが通常価格の3割引になっていると迷わず買ってしまいます。逆に欲しくないものは半額でも買いません。人間の心理と購買行動は複雑なものですね。今日、スーパーでかけたら、ぜひ自分がお得だと感じる割引率を探してみてください。値引きに関しては割合が立派な単位であることがわかることでしょう。